消毒用というわけではない高濃度アルコールを飲んでみた
副所長です。
強い酒の表現として「火がつく」「消毒できる」等は前々から言われていましたが、本当に出ましたね「消毒できる酒」。
酒造メーカーの皆様GJです。
時世的に消毒用なのは重々承知ですし、もちろん消毒用に買ったわけですが。
酒造メーカーが作った蒸留酒なので、飲んでみたくなるのは当然というものではないでしょうか。
というわけで、スプレーボトルに移す前に少し味見してみました。
今回買ったのはこちら、霧島町蒸留所の「明るい農村 ALCOHOL77」。
まずは何も混ぜずに味見。
飲みやすい。
焼酎は銘柄ごとのくせが強いものですが、なんにでも合いそうな味です。
とはいえ、ガチ消毒用エタノールの「何も足さない、ただの物質」の味ではありません。
飲んだ後には焼酎ならではの旨味と香りを感じます。
とにかくおいしいです。
度数が度数なので、オレンジジュースと炭酸で割ってみましたが、こちらも飲みやすかったです。
つまみの減りもヤバかったです。
普通の「明るい農村」も買ってみようかな。
今回買った「明るい農村」は、濃度が消毒にちょうどいい感じでも、あくまで区分としては「飲むための酒」です。
ネット上では「消毒するなよ、絶対消毒するなよ」ということで「ダチョウ俱楽部酒」とか呼ばれていました。
つまり、値段にはしっかり「酒税」が含まれているわけです。
ところが5月からは、 こういう「消毒できる濃度の蒸留酒」は特例として「酒税は課されない」とすることも可能になりました。
酒の値段には、それなりの額の酒税が含まれています。
エタノールを含み人間が「飲める」製品には酒税がかかるのです。
しかし、エタノールを含んでいても「飲めない」製品には酒税がかかりません。
「不可飲処置」、ざっくり言うと「毒をまぜる」「クソまずくする」等の処置を施すことで「飲めない」製品にすることができます。
多くの消毒用エタノールがこの「飲めない」製品として、同じ体積の「飲める」酒より安い価格で販売されています。
今回、各メーカーから販売された「消毒用ではないけど消毒できる酒」は、「飲める飲めない」で言えば「飲める」区分です。
なので、酒税込みのお高い値段で売らないといけないという状態でした。
消毒液用途が想定されていることを考えると、少し理不尽というか、消毒液なのに高すぎというか。
食器などを消毒するために敢えて「飲める」エタノールのままの消毒液もあります(私が過去に味見したのはこれ)。
これも酒税込みなので高いですが、今回のケースは不可飲処置された製品でもいい場面でも酒税込みで払わないといけない。
まあ、事態が事態なので仕方ないのかなと思っていました。
これに対し、国税庁は5月から
「事態が事態なので不可飲処置したことにして酒税ナシでいいよ」
と言ってきたわけです。
今後は酒造メーカーの高濃度エタノールも消毒液価格で買えることになりそうです。
税金集めが仕事の国税庁が! このスピードで! 税金いらないって言ってきた!
正直、いい意味で度肝を抜かれました。
国税庁GJ。
もちろん、酒税ナシにするにはいくつか条件があり、「ラベルに『飲用不可』と表示」なんてのも含まれます。
不可飲処置を施されたと「みなす」ということは、物としては「飲める」酒なんですよね(たぶん)。
今度は「飲むなよ、絶対飲むなよ」だから、最初から最後までダチョウ俱楽部ですね。
ガチの不可飲処置されてるならともかく、そうでないなら、どう考えても美味しいやつですよ。
味見してみたいし、酒税ナシで酒が買えるなんて酒飲みの夢です。
しかし、消毒液不足解消のために酒造メーカーと国税庁がここまでやってくれているわけです。
今回の「明るい農村」はあくまで「飲むための酒」だったけど、これから出回る「飲用不可」の高濃度エタノールは、さすがに飲んでみるのは気持ちの上でアウトかなと。
もし飲んだら、感染拡大防止のために働いてくれている人たちの努力を踏みにじることになってしまいます。
(そもそも、これを飲むのが合法かどうか、法律に疎いのでわかりません)
コロナ禍が過ぎた後には、ちゃんと飲用可の酒として出してくれないでしょうか。
そしたら堂々と酒税込みで買って、飲レポしたいです。
参考文献:
国税庁酒税課報道発表資料 令和2年5月1日
新型コロナウイルス感染症の発生に伴う「高濃度エタノール製品」に係る酒税の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/kansensho/pdf/0020004-157_01.pdf