はじめに
はじめまして、昆虫食学研究所 所長です。
今のところ、私と副所長しかいない研究所です。
それでも、一人で所長を名乗るよりはマシかと思っています。
昆虫食を研究し始めてからはや10年以上が経ちました。ここ数年、世界でも昆虫食への関心が高まってきています。
昆虫食の意義は色々とあろうかと思います。
途上国の栄養状態改善のために養殖してみたり。
先進国のみんなで環境を守るためにちょっと牛とか豚とか食べるのを減らして虫にしてみたり。
食べたことのないものを食べてみんなと楽しんだり。
そのうちの一つに「新しい味の探求」があります。
まだ見ぬ珍味が、案外その辺で鳴いているかもしれないわけです。
こうして昆虫の可能性を探るうちに、一つの疑問にぶつかりました。
昆虫という「新しい食材」を探求する前に、自分はどれだけ「既存の食品の味」を知っているのか。
スーパーにはたくさんの食材が並んでいますが、日々の買い物はどうしても数種類の食品のルーティンになりがちです。
意識して見てみると、どう使うのか想像もつかない食材や聞いたこともない調味料が百貨店に、いや最寄りのスーパーにすら並んでいると気づきました。
まずはここを攻略しないと昆虫の話はできないのではないか。
学生時代の知り合いに一人、妙に新しい味を探求したがる奴がいました。
実習で採った草や海藻を片っ端から食べてみたり、ヤギを解体して焼肉にしてみたり。
日常生活でも頻繁に輸入食品店や外国人街に行っては、大量に買い込んだ食材を自己流で料理していました。
こいつなら昆虫料理の開発を一緒にやってくれるに違いない。
研究所を立ち上げるにあたり声をかけてみたら、快く協力を申し出てくれました。
これが副所長です。
今はさすがに落ち着いたものの、近所で買えるレベルの「新しい食材」は探求し続けているとのこと。
「虫は食べたくない」とのことなので、以下のように良い具合の役割分担ができました。
所長(私):昆虫食全般(昆虫食に関するものならなんでも。たぶん生物の話もする)
副所長 :虫以外の料理(主に副所長にとって目新しいもの)
二人体制で、できれば週一くらいで更新していこうと考えています。
何はともあれ、「すべての道は昆虫食に通ず」。
私はものぐさな人間ですが、とりあえずやれるところまでやってみたいと思います。
副所長はたぶんやってくれると信じています。